メディア企業の合併・買収を巡る期待と懸念

I presented this last year for a talk and came across it on my laptop. Enjoy..

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メディア企業の合併・買収を巡る期待と懸念

果たして、ライブドアはブロードバンドを活かし、AOL Time-Warnerの失敗を避けられるか

今のライブドアのニッポン放送敵対買収を、AOL-Time Warner合併の日本版だと見なしている方が多いが、際立った違いがさまざまある。旧来、映画制作の会社は陸上、衛星、有線テレビ会社とさまざまな企業 構成を使って、協力的な事業も進めてきた。しかし、そのあらゆる提携事業の根底には、相手の新技術を利用して顧客と新規なルートでコンテンツを提供すると いうところにビジネスチャンスがあった。
新技術が広まって顧客の加入・利用が増えてコンテンツが盛大に普及した場合は、提携事業がう まくいくと言える。最近公開された情報でAOLの改名や経営陣の降格から、AOLーTW社の経営陣は、この合併がうまく行かなかったと反省していることが わかる。そこにはいくつか原因があると思われるが、幸いにライブドアのニッポン放送との合併の場合はこれと違うとも考えられる。
当時、何よりもAOL社の長所として掲げられていたのは、新技術だったインターネットの顧客加入数とビジネスモデルであった。しかし、当時のインターネット の基盤技術といえば今の通常になりつつあるブロードバンドではなく、低速度通信技術の電話回線による接続、いわゆるダイルアップ接続だった。進んだ現在の ソフト圧縮を利用しても、ダイルアップ接続で映画などの動画画像の鑑賞には無理がある。
AOL加入者の接続は、今もままほとんどがダ イルアップ接続のままだし、合併の潜在価値がいまだに発揮できないままだと思われる。アメリカでのブロードバンド普及の失敗は、行政の対応に問題があった か、市場判断の通りに動いたかどうかという難問がある。いずれにしても日本のブロードバンドの普及は盛んであって、ライブドア・ニッポン放送の融合によい 影響を及ぼすに違いないであろう。

ライブドアによる予期せぬ敵対的買収成功例から学べる点

80年代に日本が世界第二の経済大国といわれるようになってから、アメリカでは、日本企業の特徴的な経営方法が話題にされている。日本企業の経営方法とは、株式の短期的な増配(配当率、分配金などの増加)などより会社の将来性に貢献する投資や作戦に優先することや、厳格な契約関係に頼らずに長期的な共存共栄を狙い、深い協力をもたらすパートナーとビジネス関係を組む傾向があることなどと言われている。日本のバブル経済の崩壊が始まった80年代の後半から10年以上続いて来た不況を巡って、日本的経営に関する批判的な意見も強まって来ている。「日本的経営方法は、経営方法として失格だ」などと言う言葉も聞こえるようになって来た。しかし、今の不景気から抜け出そうとしている企業は、日本的経営の独特な特徴を生かしながら、グローバルな経済でも成功できるように今まで日本の経営では必要としなかったところも学んでいる。

アメリカの経営者は、日本の経営者が著しく異なった観点から企業経営を導いていることが、ライブドア社のニッポン放送買収を例にとってもわかる。たとえ、どんなMBA(経営学修士)やJD(法科大学院)の大学院生でも、ビジネスロー(会社法、証券法などの法律)入門をとる際に敵対的企業買収対策などを勉強するはずである。しかし、日本の大企業というべきフジサンケイグループの経営陣は、「巧詐は拙誠に如かず」といいながら、拙速な司法対策などで拙守し、教科書通りの買収作戦にやられてしまったことがわかる。海外輸出などで国際化している日本企業を除いて、ほとんどの企業は十分な敵対的企業買収対策を整っていないといわれている。

もちろん、企業買収合併の環境が著しく激しいアメリカでは、買収対策が頻度や確立から考えると当然重視される。しかし、今までの日本の企業経営には、合併・買収が特に問題になかった。通常、アメリカでは、会社が資金調達するためには新株の発行などの増資を行って資本金を増やすが、従来、日本企業の負債金融は、アメリカなら一般的とみられる自己資本調達によって得られる場合より、系列の個人銀行からの融資によって資本を集める場合が多かったと思われる。よって、日本の企業経営はアメリカの株式公開会社での経営ほど、自己資本調達についての知識が問われなかった。

しかし、一方、今の日本企業経営の事情が変わって来たと言うことがあっても、それでも経営とは資本調整・調達だけでは成り立たないということもある。アメリカの経営陣らは、日本の車、家電、半導体などの製造業界からは、優れた品質の商品を作る方法など多くを学び真似ができたからこそ、アメリカが不景気から抜け出せたとも言えるであろう。もちろん企業の厳しい再編成(リストラ)が必要な場合もあるが、それだけでは成功しない例が多いはずである。日本では、多くの経営者や評論家がライブドアの買収作戦を「汚いやりかた」「不公平な取引」などと批判して、ライブドアの堀江社長が経営者として失格だと厳しい意見を抱いているのはおそらくこの「経営はマネだけじゃない」というところからきていると思われる。

今後のメディア企業にかぎることではないが、これからの企業経営を成功するには、企業の本質を考慮した経営作戦が必要だと思われる。その作戦をつくり出すには、従来のやり方も将来の可能性を把握した経営が必要である。少なくてもライブドアの場合は、従来の報道企業と今後のインターネットメディアが融合して、どういうメディア企業の経営が成功できるかという難問を解く負担の過重に苦しんでいくことであろう。

今後の展望

経済学者のマーク・ポーラット (Mark Porat) 氏が1977年にはじめて「情報経済」 (Information Economy) という新造語を造り出してからは、まさに社会ともいうべき、情報化時代になってきた。ポーラットの最初の論文では、1960年代のから進み出した労働の動向について調べた結果、1960年代の初期から1966年までに米の労働者の47%が「jobs in information」という情報を扱う仕事に推移したことがわかった。労働者の半分が情報関係の仕事していることに伴って、総合生産率もそれを反映していることもわかった。

メディアの企業といえばまさに情報関係の業界だが、1980年代になってきてからもう一つの大きな業界動向が見えるようになって来た。トマス・シャッツ(Thomas Shatz)氏は米ホリウッド映画製作企業の外国での映画放映による利益が1980年半ば頃までに全利益の15%にしか過ぎなかったことから、1995年になって外国による映画放映利益が同じ国内による利益を上回る傾向があることから国際化してきたメディア企業に「New Hollywood」(ニューホリウッド)と名付けた。

例をあげると、DisneyとTime-Warnerの1990年の外国で得られる利益が全利益の15%にしか過ぎなく、1997年までにはその値が30〜35%に増加していることがわかる。ロバート・マックチェスニ(Robert W McChesney)氏はこれらの傾向からこれからのメディア企業の形態に「global commercial media system」(グローバル化したメディア商業組織)と名をつけて、警戒していることもある。

今、日本では、企業合併・買収はこれから激増すると考えられている。しかし、メディア企業においてはそれだけのことではなく、これからは上記で話した、情報経済が生み出した global commercial media systemの動向もやってくるでしょう。日本独自のメディアはこの環境で成功するには、ニューホリウッドに代替できる「new japan media」を創り出さなければ行けないのではないか。アメリカの例をみると、そういうメディア企業を実現するには、企業合併・買収も必要であるかと思われる。果してどうなるか、楽しみにしている。

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